スキーマ療法とは

スキーマ療法とは

ある物事や出来事に対して〝ふと頭に浮かぶ瞬間的な思考やイメージ〟を認知する療法を『認知行動療法』と言います。

『スキーマ療法は』認知行動療法をより発展させ、さらに深い所にある思考〝すでに頭の中にあり、深くて継続的な思い〟つまりその人の価値観や信念、思い込みといった所に焦点を当てて、今感じている生きづらさや悩み事を根本的に長期的に改善していこうという療法です。

◯ スキーマってなに?

人それぞれ、物事や出来事に対して持っている自分の『価値観』や『信念』、『思い込み』のことです。スキーマは従来、自分を守るため、生き延びるために形成されます。そしてこれからお話していく中のスキーマとは『早期不適応スキーマ』のことを指します。

◯ 早期不適応スキーマとは?

幼い頃や思春期の傷つき体験によって形成された、生き残り戦略的な自分を守る価値観や信念のことです。

本来、虐待やいじめなどで傷ついた時、「人は信用できない」と思うことは当たり前の思考ですよね。なにせ周りは本当に「信用できない」人ばかりなので、そう思って人を信用しないことは、自分を守ることにつながります。

ではその傷ついた子どもが大きくなり社会に出た時、その「人は信用できない」という思考を頑なに思い続けているとどうなるでしょうか?

そうです。もうお分かりいただけてるかもしれませんが、とても生きづらいですよね。本当に世の中の全員が全員〝信用できない人〟なのでしょうか?そうでないということはこと理解していただけるかと思います。

私たちは皆、自分にとって信用できる人や信頼し合える人と共に助け合いながら生きています。しかし「人は信用できない」というスキーマを持つ人は、そのスキーマのせいで、人との繋がりを持ちづらくなくなってしまうのです。これが『早期不適応スキーマ』です。

あなたが満たされなかった欲求とは?

人は誰しも当たり前に持って当然のごく正当な欲求があります。
スキーマ療法では、特に子どもが両親(大人)に対して持って当然のごく正当な欲求を重視します。

叶わなかった5つの欲求

A)愛されたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい
B)有能な人間になりたい
C)自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意思を大切にしたい
D)自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい
E)自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい


どうでしょうか?どれも子どもが持つ「当たり前の欲求」ですよね。

ところがこの「当たり前の欲求」が、幼少期や思春期に何らかの形で満たされなかったり阻害されたりしてしまうと、それが『傷つき体験』となってしまうんですね。

ただ、この「当たり前の欲求」が満たされないことによる傷つき体験は、実は誰にでもあります。
欲求が100%満たされることなんてそうそうありませんよね。人間関係は欲求が満たされて満足したり、満たされないことに折り合いをつけたりしながら学び、成長していきます。

しかし
・一回の傷つき体験があまりにも大きかった場合
・小さな傷つき体験でも繰り返し何度も体験してしまった場合
・生まれ持った個性や特徴の一部(例えば〝落ち着きがない〟〝不器用〟〝左利き〟など)


これらがある場合に『早期不適応スキーマ』が形成されてしまうことがいあります。

18個の早期不適応スキーマ

早期不適応スキーマは18種類あります。人はそのうち2〜3個、もしくはそれ以上持ってることも多いとされています。
あなたに当てはまるスキーマは何個くらいあるでしょうか?

□〝A)愛されたい、守ってもらいたい、理解してもらいたい〟欲求が満たされなかった人が形成されやすいスキーマ

①見捨てられスキーマ
•人はいずれ去っていくと思っている
•見捨てられるのが怖い
•人間関係が親密になるのを回避する

②不信•虐待スキーマ
•他人を信じられない
•人は裏切るものだと思っている
•自分を利用しようとしてるのではないかと考えてしまう

③「愛されない」「わかってもらえない」スキーマ
•愛されたい、わかってもらいたい気持ちが強い
•誰も自分のことを愛してくれないと感じる
•誰にも理解してもらえないと感じる

④欠陥•恥スキーマ
•自分は生まれつき欠陥人間だと思っている
•欠陥人間な自分は人として恥ずかしいと感じる
•完璧主義

⑤孤立スキーマ
•社会に馴染めず孤立している
•自分は変わり者だ、変人だと思っている
•ネットの中などでは自分が世界の中心であるかのように振る舞ったりする

□〝B)有能な人間になりたい〟欲求が満たされなかった人が形成されやすいスキーマ

⑥無能•依存スキーマ
•自分は無能でひとりでは何もできないと思っている
•他者に依存してしまう
•新しい課題に直面するとすぐ「できない」と感じてしまう

⑦事故•災害•病気に弱いスキーマ
•常に「何か起きたらどうしよう」と怯えている
•自分の身体の異変や周囲の状況の変化に敏感
•実際に何か起きると逃げるか、固まってしまう

⑧巻き込まれスキーマ
•自分が何者なのかわからない
•自分がなく、生きている実感がない
•常に誰かと一緒にいようとする

⑨失敗スキーマ
•やったってどうせ失敗すると思っている
•「自分なんか」が口癖
•自分に自身がなく、新たなことにチャレンジしたくない

□〝C)自分の感情や思いを自由に表現したい、自分の意思を大切にしたい〟欲求が満たされなかった人が形成されやすいスキーマ

⑩服従スキーマ
•「嫌われたくない」「見捨てられたくない」「攻撃されたくない」と思うあまり相手に服従してしまう
•いつも相手の機嫌をうかがう
•別の誰か(自分より弱そうな相手)
を服従させようとする

⑪自己犠牲スキーマ
•常に相手を気遣い、世話をしたり手助けしたりする
•悲しそうだったり辛そうな人を見ると自分が何とかしてあげたい!と思い、行動する
•相手に合わせすぎて疲れすぎる

⑫「褒められたい」「認められたい」スキーマ
•他人の評価で自分の価値が決まる
•ほめられないと自分はダメなんだと感じる
•常に他人に認められるような言動を選択する

□〝D)自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい〟欲求が満たされなかった人が形成されやすいスキーマ

⑬否定•悲観スキーマ
•マイナス思考
•どうせが口癖
•常に物事を悪い方向に考えて心配ばかりしてしまう

⑭感情抑制スキーマ
•感情を感じることへの抵抗がある
•理性的に振る舞い、感情を知られるのが怖い
•感情は完全にコントロールしなければならないと思っている

⑮完璧主義的「〇〇べき」スキーマ
•物事を完璧にやらないと気が済まない
•人にも完璧を求めたり批判したりする
•常に満足できない

⑯「罰せられるべき」スキーマ
•他人を許すことができない
•ミスや誤りを犯したら罰されるべきだと思う
•失敗した自分を厳しく責める

□〝E)自律性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるようになりたい 〟欲求が満たされなかった人が形成されやすいスキーマ

⑰「オレ様•女王様」スキーマ
•自分は特別だと思っていて、ルールを平然と破る
•自分勝手になり、何でも思うがままになると思い込む
•他人を見下し、馬鹿にする

⑱自制•自律の欠如スキーマ
•自分をコントロールするのが非常に苦手
•我慢したり、責任を負うことがとても苦になる
•約束をキャンセルしたり、期限に間に合わないことが多い

最後に

あなたはどんな欲求が満たされずに傷ついたり、我慢したり、自分を守ったりしながら生きてきたのでしょうか。

生きづらさの原因『早期不適応スキーマ』を解放し、新しく『ハッピースキーマ』を手に入れて、あなた本来の輝きを取り戻し、自由に生きていきていけるお手伝いをさせていただきます。

当カウンセリングでは、1年〜2年かけながらご自身のペースでできるスキーマ療法のワークを一緒に行なっていきます。

スキーマ療法ワークコース

当カウンセリングルームは、スキーマ療法のワークをやっていく方だけの特別コースをご用意しております。
*スキーマ療法ワークコース:60分¥5000